研究分担者 |
佐藤 繁美 日本発条株式会社, 研究開発室, 室長
遠藤 孝雄 横浜国立大学, 工学部, 教授 (40018007)
秋 みんちょる 横浜国立大学, 工学部, 講師 (80293174)
小林 康良 日本発条株式会社, 研究開発室, 室員
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研究概要 |
申請者らは,亀裂治癒能力に優れたムライト/SiC及び窒化けい素の開発に成功した。しかし,残念なことに,これらの材料では,内部亀裂を治癒することが出来ない。そこで,研削や使用中に出来た表面亀裂は治癒させることにより,品質を保証する。しかし,内部亀裂は,過負荷試験により,有害でないことを保証する。これが我々の提案する「亀裂治癒+過負荷試験」なる品質保証法である。本年度に得られた成果は以下の通りである。 (1)亀裂治癒部の強度特性は成分系に極めて鋭敏である。最適な成分系は,ムライトではムライト/SiC,窒化珪素ではY_2O_3/SiC系である。以下では最適の成分系の特色について述べる。(2)窒化けい素では,治癒部は1400℃で650MPaの強度を有する。それ以下の温度域では大部分が母材部から破断した。(3)ムライト治癒部は,1000℃で500MPa以上の強度を有し,それ以下の温度域では大部分が母材部から破断した。(4)両材の亀裂治癒部は,試験した1000℃以下で十分な疲労強度を有し,やはり大部分が母材から破断した。(5)以上により,亀裂治癒を構造工学的に利用できることが判明した。(6)室温過負荷材で保証される応力の温度依存性が示す式を誘導した。(7)上式の妥当性を,室温〜1300℃の温度范囲で,約50本の曲げ試験片及び約200本のコイルバネを用いて調査した。その結果我々が誘導した,保証応力の温度依存性に関する式は妥当であることが判明した。これにより,我々が提案した「亀裂治癒+過負荷試験」なる品質保証法は実用的であることが判明した。
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