「亀裂治癒+過負荷試験」による構造用セラミックス部品の品質保証法確立

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11555030
• 研究機関: 横浜国立大学
• 研究代表者: 安藤 柱 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40017992)
• 研究分担者: 高橋 宏治 横浜国立大学, 工学研究院, 助手 (90334630) ; 秋 みんちょる 横浜国立大学, 工学研究院, 講師 (80293174) ; 遠藤 孝雄 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (40018007) ; 小林 康良 (株)日本発条, 研究開発室, 研究員 ; 佐藤 繁美 (株)日本発条, 研究開発室, 室長
• キーワード: セラミックス / 窒化けい素 / 炭化けい素 / 亀裂治癒 / 過負荷試験 / 強度 / 熱処理 / 品質保証

研究概要

構造用セラミックスは比強度が高く耐熱性及び耐食性に優れ、近年、ガスタービン等高温機器部材として応用されつつある。しかしながら、破壊靭性が低いことから欠陥感受性が高く信頼性に乏しい。これがセラミックスの実用化を妨げる大きな原因である。我々は、この問題を克服する一つの方法として「亀裂治癒処理法」を提案し、窒化けい素、炭化けい素、アルミナ及びムライトセラミックスに適用し、亀裂治癒愈部が1000℃以上の高温においても母材部以上の強度を有することを実験的に証明した。しかしながら、この方法は表面に存在する亀裂や加工欠陥を治癒するには有効な方法であるが、内部にある欠陥まで治癒することが出来ない問題点がある。そこで、セラミックス部品の信頼性を確実に向上させる方法として「亀裂治癒+過負荷試験」法を提案し、内部欠陥は過負荷試験で、表面欠陥は亀裂治癒処理で除去することにした。この新しい方法を窒化けい素セラミックス製ばねに適用した結果、この部品の信頼性を大幅に向上することに成功した。このことから、我々が本研究で提案した「亀裂治癒+過負荷試験」法はセラミックスの品質保証に非常に有効な方法であることが証明された。

研究成果

• [文献書誌] 安藤 柱 外 5人: "ムライト/SiC複合セラミックスの亀裂治癒拳動と治癒部の高温強度特性"材料. 48・5. 489-494 (1999)
• [文献書誌] 安藤 柱 外 4人: "窒化けい素セラミックスの亀裂治癒拳動と治癒材の高温強度特性"日本機械学会論文集. 65・633. 1132-1139 (1999)
• [文献書誌] K.Ando 外 3人: "Fatigue strength of crack healed si3N4/SiC composite ceramics"Fatigue Fract. Engng Mater. Struct. 22・10. 897-903 (1999)
• [文献書誌] K.Ando 外 3人: "ムライト/SiC複合セラミックスき裂治癒材の疲労強度特性"材料. 48・10. 1173-1178 (1999)
• [文献書誌] F.Yao 外 3人: "Crack-healing behavior, high temperature and fatigue strength of SiC-reinforced silicon nitride composite"J. Mat. Sci. Lett. 19. 1801-1803 (2000)
• [文献書誌] Jan Korous 外 3人: "Crack healing behavior of silicon carbide ceramics"J. Am. Ceram. Soc.. 83・11. 2788-2792 (2000)
• [文献書誌] F.Yao 外 3人: "Static and cyclic fatigue behaviour of crack-healed Si_3N_4/SiC composite ceramics"J. of the European Ceramics Society. 21・7. 991-997 (2001)
• [文献書誌] 安藤 柱 外 5人: "ムライトき裂治癒材の疲労強度特性に及ぼす初期き裂寸法と試験温度の影響"材料. 50・8. 902-925 (2001)
• [文献書誌] K.Ando 外 5人: "Crack-healing behavior under stress of Mullite/Silicon Carbide ceramics and the resultant fatigue strength"J. of the American Ceramic Society. 84・9. 2073-2078 (2001)
• [文献書誌] K.Ando 外 4人: "(Crack-healing+proof test) : new methodology to guarantee the structural integrity of a ceramics component"J. of the European Ceramics Society. 22・1. 121-128 (2002)
• [文献書誌] K.Ando 外 5人: "Crack-healing behavior under stress and fatigue strength at elevated temperature of crack-healed Si_3N_4/SiC composite ceramics"Key engineering Ceramics. 206-213. 819-822 (2002)
• [文献書誌] K.Ando 外 6人: "Crack-healing behavior of Si_3N_4/SiC ceramics under stress and fatigue strength at the healed temperature(1000℃)"J. of the European Ceramics Society. (印刷中).