研究概要 |
本研究では,走査電子顕微鏡中で界面強度試験を行い,その定量的評価法を確立することを目的とした.評価手法として,マイクロボンド法とミクロコンポジット法を比較することにより,その破壊則の一般性についても検討した.さらに,荷重として静的荷重のみならず,実用耐久性評価のうえで重要な疲労荷重の影響を調べた.そのため,走査電子顕微鏡に10mMまでの制御が可能な電磁式で摺動部のない微小荷重疲労試験システムを組み込んだ. 本研究の成果概要は次のようにまとめられる. (1)微小荷重疲労試験システムの走査電子顕微鏡への組み込み:容量1Nの電磁型アクチュエータについて,コイル,磁気シールドケースを見直すことにより,アクチュエータの小型化を図り走査電子顕微鏡への組み込みを可能とした.また,補助試料室を取り付け,磁気シールドを2重にすることにより,観察画像への影響を小さくするとともに,試験装置ステージを組み込むことにより,駆動部を試料室内に取り付けることを可能とした. (2)ミクロコンポジット法について,界面でのき裂発生・伝ぱ過程を詳細に観察し,安定き裂から不安定き裂への遷移を予測した. (3)2本の繊維からなり,よりその場観察に適したモデル複合材料(カップルファイバーシェアー法)を対象として,熱残留応力を考慮した応力解析を行い,繊維間隔,樹脂付着長さが,界面での応力特異性に及ぼす影響について,数値解析により検討した. (4)カップルファイバーシェアー法により,その場観察を行いながら界面の静的荷重下での破壊の進行を観察し,破壊の前にき裂の安定進展が認められることを確認した. (5)両試験法の安定き裂進展の原因としてき裂進展に伴う応力特異場パラメータの変化が考えられた.3次元数値解析により,上記証明の基礎となる応力特異場パラメータをより詳細に計算した.その結果,界面破壊基準は複素応力拡大係数の実数部分が一定という形で示すことが可能であることがわかった. (6)カップルファイバーシェアー法により繊維直径を変えた実験を行ない,破壊基準が繊維直径に依存しないことを明らかにした. (7)開発した装置の疲労荷重下でのデータ収集の自動化,高精度化を図るとともに,より安定した繰り返し荷重下での微小荷重試験を可能にした.
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