研究概要 |
本研究では,金属などに塗布された高分子皮膜および薄膜の微小領域に作用する応力を定量的に計測・評価する技術を確立することを目的に,皮膜が形成されている基板材料でレーザー光を反射させる方式の光弾性応力計測装置の開発を進めてきた.今年度は,反射型の光弾性実験装置を組み上げ実験を行い,以下の結果を得た. (1)He-Neレーザー,偏光子,検光子,光弾性変調器(PEM),無偏光ビームスプリッタ,1/4波長板,反射鏡を組み合わせた反射型の光弾性実験装置を試作した. (2)試作した装置を用いて反射鏡とビームスプリッタの間に負荷を加えたガラス試料を置いて,ガラス試料を往復する透過光の光学的位相差を測定した.そして,迷光や表面反射の影響,ビームスプリッタや集光レンズによる測定結果への影響を評価し,測定した光学的位相差から応力測定が可能であることを確認した. (3)(2)と同じ材質のガラス試料の片面にアルミ蒸着を施し,それに応力を負荷して,アルミ蒸着面で反射させた往復透過光からガラスの光学的位相差,さらに応力を測定した.その結果,ガラス板に垂直入射させた場合には,(2)で得られた透過光による測定結果と比較し,光弾性定数で5%以下の差しか認められず,通常のガラスの応力測定においては反射型レーザ光弾性実験による応力測定は十分な精度で可能なことが解かった.
|