研究概要 |
本研究では,金属などに塗布された高分子皮膜および薄膜の微小領域に作用する応力を定量的に計測する技術を確立する.このため,皮膜が形成されている基板材料でレーザ光を反射させる方式の光弾性応力計測装置(反射型偏光レーザ顕微鏡:仮称)の試作を目的とする.さらに,ミクロンオーダーの厚さの高分子薄膜およびSiウエハ上に形成した高分子皮膜について,その微視的応力分布を評価するために必要な技術の開発と材料データの作成を目的とする.平成12年度はこの共焦点型光学系を試作した.また,共焦点型によりどの程度表面反射を取り除けるか解析と実験の両面から調べるための試料の準備を行った.以下にその結果を示す。 [1]共焦点型光学系の試作:試験片の表面と反射面からの反射光を分離するために共焦点型光学系を設計し試作した。しかしながら、共焦点型の光学系は調整が困難で、現時点で調整ができていない。 [2]ガラスの応力分布計測:片面にAl蒸着を施したガラス板の4点曲げ試験片を試作し,曲げ荷重を作用させる実験をおこなった。Al蒸着の時間を調整することで、数種類の反射・透過率の鏡面を作成した。実験には共焦点型ではない光学系のレーザ光弾性実験装置を使用した。このガラスに4点曲げ荷重を加え、生じた複屈折位相差の分布を反射型偏光レーザ顕微鏡で計測し主応力差の分布を求めた。材料力学の計算から得られる結果と実験結果を比較し、反射型の計測で問題になる表面反射の影響を評価した。
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