研究概要 |
本研究では,波長が248nmのKrFエキシマレーザを用いている.エキシマレーザは紫外域のレーザで,フォトンの持つエネルギが高いことから,熱反応によらない光化学反応により加工が行われる(アブレーション)とされている.アブレーションにより加工が行われれば,エッジ部もシャープになり微細加工へ適用することができ,実際にその要求も多い.しかし微細加工への適用については大きく分けて2つの問題がある.第一に,結合エネルギの大きい材料ではアブレーションにより加工が行われず,熱過程を踏んで加工されてしまうことである.これについては,加工材料の点で拘束されてしまうが,結合エネルギの小さいもの(マイクロマシンの材料として良く利用されるシリコンはアブレーション加工が可能)を選定すれば良い.第二に,エキシマレーザはパルス発振であるためにエネルギの値が安定せず,再現性のある加工に問題があるということである.そこで,エネルギをインプロセスで計測してエネルギの安定化を試みれば,微細加工などへの適用が可能と言える.これまでに,エキシマレーザによる加工特性を調べた.本研究は将来的にマイクロマシンの加工技術として利用することを考えており,したがって被加工材として単結晶シリコンを用いた.また,レーザの時間的あるいは空間的な変化を計測し,このことが加工形状に大きく影響していることを示した.本年度は,エネルギの時間的,空間的安定化を試みた.まず,ビームプロファイラを用いて,より正確にエネルギの空間分布を計測した.エネルギの空間分布を一様にすることで,深さ方向の形状のばらつきが減った.また,ビームスプリッタを用いてインプロセスでレーザエネルギを計測し,エネルギの値を一定に制御するフィードバックシステムを構築した.エネルギ値の変化は一定ではなく,このことがレーザ加工の再現性に影響していたが,本システムを導入することにより,加工形状の再現性の点が改善され,安定した加工が行えるようになった.
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