1.基礎実験 加工液を切削中に供給する目的は3つある。それらは、潤滑作用、冷却作用、そして切りくずの排除作用である。極微量加工液供給による切削加工は、第一の潤滑作用を霧状にしたオイル(オイルフォグ)で行わせ、第2、第3の作用を高圧の空気で行わせようとするものである。そこで、まず申請者の研究室にてテスト用のオイルフォグ発生装置を試作し、フォグ供給量と加工結果の関係を明らかにするための基礎実験を行った。評価項目は、切削抵抗(潤滑効果の確認)、工具摩耗(潤滑効果の確認)切削温度(冷却効果の確認)及び加工面粗さ(潤滑効果の確認)である。これら基礎実験を通して、オイルフォグの最低必要供給量を明らかにすることが出来た。 2.オイルフォグ発生装置の設計・製作 実用化を目標にしたオイルフォグ発生装置の詳細設計と試作を行った。発生油量、粒径測定などの基礎実験を通し、直径数μm以下の必要十分なオイルフォグを発生させうることを確認した。 3.オイルフォグ供給用工具ホルダーの設計・製作 工具ホルダー部にオイルフォグ発生装置からのパイプを接続するだけで、ミリング工具及びドリル工具の外周面にオイルフォグを供給できる機構を設計し、1号機を試作した。軸受け部からの発熱が問題として残されたが、ほぼ初期の目的を達成することが出来た。 4.オイルの成分決定 環境問題を意識した加工液としては、生分解性が高いものでなくてはならない。エステル系の切削油数種を試作し、基本的切削性能の試験を開始することが出来た。
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