研究概要 |
本研究はTVカメラの前に設置した屈折板を高速回転させることで画像に円運動を加え,撮影されるリング状軌跡の径より奥行きを判断し,トレーサ粒子の三次元的な運動を計測する装置を開発するものである. これまでの実験より,カメラの受像面に平行な速度成分に比較して,カメラから奥行き方向の速度成分についての計測精度がかなり落ちることが分かった.そのため,計測器を2台準備し,2方向から計測することで,互いの奥行き方向の計測を補う手法の開発を行った. (1)三次元速度ベクトル算出方法の開発 装置の奥行き方向位置計測性能を考慮し,計測空間を微小ブロックに分け,それぞれのTVカメラの受像面に平行な方向の速度ベクトルをブロックごとに求め,各ブロックで2台の計測器で求めた速度ベクトルを合成し,三次元速度ベクトルを算出する手法を開発した. (2)流れの可視化および撮影 コンピュータとフレームメモリを用いて,液晶プロジェクタから出力される光を制御する手法を開発した.コンピュータでフレームメモリ内データを変更することで,液晶プロジェクタから出力される光量および投光範囲を制御しトレーサ粒子が良好に撮影できるようにした. (3)トレーサ粒子軌跡自動切り出しアルゴリズムの開発 トレーサ粒子の運動が速い場合に,撮影される軌跡は,らせん形となる.今年度は,撮影される画像から,それぞれのらせん軌跡を切り出すアルゴリズムを開発し,互いに重なり合ったらせん軌跡からもそれぞれのらせん軌跡が切り出せるようにした. (4)計測装置の改良 装置の一部に近接センサを取り付け,回転する屈折レンズの位置をコンピュータから読みとれるような仕様に変更した.
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