研究概要 |
本研究はTVカメラの前に設置した屈折レンズを高速回転させることで画像に円運動を加え,撮影されるリング状軌跡の径より奥行きを判断し,トレーサ粒子の三次元的な運動を計測する手法を開発することを目的とする. しかし,三次元計測器1台のみではカメラの受像面に平行な方向の精度と比較すると奥行き方向の精度が落ちる問題がある.昨年度までに二台の装置を用いて互いに奥行き方向の計測をおぎなうことで精度を向上させた.ところが研究の過程で二台の装置のうち一台は一般のカメラで代用できることがわかった. そこで本年度はシステムの簡略化を目的に三次元計測装置と一般の補助カメラを組み合わせた計測システムを構築した.計測装置の性能を検定し,スクリューを回すことにより発生する管内渦に漂うトレーサ粒子の軌跡と速度ベクトルの算出を行った.原理的には提案の手法とステレオ法を組み合わせたことになり,それぞれの欠点を補う手法が確立された. トレーサ粒子の位置を三次元計測器単体で3次元的に計測できるが,ステレオ法との組み合わせによって,比較的大きな視差が存在する場合でも,TVカメラ間の粒子の対応を取ることができ,類似した多くの粒子の対応を取ることもできた.また,三次元計測器一台のみの時と比較して2〜3倍の精度を得ることができた. 計測範囲が広い対象に対しては,本計測器を複数使用することにより計測が可能である.また,精度が要求される領域に対しては屈折レンズの屈折率を上げることや複数の計測器で同一の領域を撮影するなどの手法で計測精度の向上が見込まれる.
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