研究概要 |
地球規模でのエネルギー需要の増大に対応するためには,熱を効率的に利用した高効率で環境負荷の少ない発電技術の開発が重要である.このような背景のもとで,熱光起電(Thermo-Photo-Voltaic:TPV)発電技術が注目されている.本研究では,我が国初のソーラーTPV(S-TPV)実証実験更には実用化を目指して,その構成要素である,集光光学系,高温受熱器,希土類選択エミッター,光電変換素子の基本設計と基礎データを収集することを目的としている.本年度は,(1)S-TPV実験を行うための真空チャンバーの製作を行った。グラファイト製の太陽受熱器を用いて、目標温度である1200〜1500Kが実現できることを確認した。特に、選択放射材料を用いることにより同様の入力エネルギーにおいても100K程度の受熱器温度の上昇を確認した。これは、選択放射材料によりPVセルに有効な波長域のみの放射が実現したことにより、全体の放射熱損失が低減されたことによると考えられる。(2)太陽加熱条件下で、光学フィルターなどの光学コンポーネントの熱負荷測定を行い、Er系の選択放射材料を用いることにより光学フィルターの温度を50K程度低下させることが出来ることを見出した。このように、受熱器温度の上昇と光学コンポーネントの熱負荷低減が可能となり、ソーラーTPVにおいて,選択放射材料が有効であることが実証された。(3)Erを含む選択放射材料とGaSb光電変換素子を組み合わせた室内実験を行い、発電効率が光電変換素子とエミッターとの最適な距離を見積もった。(4)RCWAにより表面微細加工エミッターの最適形状の探索と、Siを基板として予備的な実験を行い、選択放射特性の評価を行った。その結果、表面微細加工エミッターが有効であることを見出した。
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