研究課題/領域番号 |
11555059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小森 悟 京都大学, 工学研究科, 教授 (60127082)
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研究分担者 |
神崎 隆男 電力中央研究所, 大気科学部, 主任研究員
黒瀬 良一 電力中央研究所, エネルギー化学部, 主任研究員
長田 孝二 京都大学, 工学研究科, 講師 (50274501)
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キーワード | 温度成層 / 浮力対流 / 乱流混合 / 反応促進 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に実施した浮力対流を伴う混合層乱流場に対して、ラージ・エディ・シミュレーション(LES)と呼ぶ数値計算手法を適用することを試みた。液相の流れ場では物質の分子拡散係数と動粘性係数の比であるシュミット数Scがおよそ600と非常に大きく、濃度場の最小スケールが速度場の最小スケールよりもはるかに小さくなることから、シュミット数Scが1である気相に対するLESのサブグリッドスケール(SGS)モデルを液相の反応乱流場にそのまま適用することができない。そこで、まず、液相の反応乱流場に対して三次元直接数値計算(DNS)を実行し、液相の反応乱流場に対するSGSモデルを構築した。特に、SGS応力モデルに及ぼす浮力効果についてDNSにより詳細な検討を行った。構築したSGSモデルを実際にLESに組み込んで数値計算を行い、室内実験で得られた結果と比較した。その結果、平均速度、平均濃度、混合層厚さ、速度・濃度変動強度、レイノルズ応力、乱流フラックス等の乱流統計量に関して実験値との良好な一致が認められた。特に、LESにより、各乱流統計量に及ぼす浮力効果を精度良く予測することに成功した。 本研究課題による3年間の研究により、浮力対流が混合反応促進技術として非常に有効であることが複数の乱流場で実証され、また、LESのサブモデルを開発することにより、浮力対流を伴う液相反応乱流場における各種乱流統計量の高精度予測が可能となった。今後、浮力対流による混合反応促進技術が実際の反応装置に適用され、また、本研究で開発したLESにより浮力対流を伴う反応装置内での時間平均濃度・速度分布と反応収率の予測が可能となることが期待される。
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