研究課題/領域番号 |
11555060
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本田 博司 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (00038580)
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研究分担者 |
山城 光 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (70239995)
高松 洋 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (20179550)
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キーワード | 水素吸蔵合金 / 急冷凝固 / 回転水中紡糸法 / 浸漬冷却 / 細線 / 組織制御 |
研究概要 |
昨年度使用した高周波誘導加熱装置の容量が不足していたので、新たに400kHz、5kWの加熱装置を製作した。また、誘導コイルを改造した。これにより、供試合金LaNi_5の融解が可能になった。LaNi_5の母合金約3gを口径0.5mmの石英ノズルに封入し、1420-1490℃まで加熱して融解させ、その後0.25-0.35MPaのアルゴンガスの背圧をかけて周速度7m/sの回転ドラム中に形成した厚さ約15mmの水層中に噴射し、急冷凝固させた。急冷凝固物の形状は、条件によって長さ30cm、直径0.15-0.5mmの細線状や、長さの異なるリボン状および粒状のものが得られた。細線を得るための最適背圧は0.3MPaであった。形状の異なる凝固物が得られた主な原因は、ノズル内の溶融金属とノズルとの反応により、スラグが発生して溶湯の噴射がスムーズに行われないためであると考えられる。製造された凝固物のPCT特性は、母合金の特性に比べてプラトー域の幅が減少し、水素吸蔵量は70%程度に減少した。また、ノズル内で溶解後にそのまま冷却した凝固物のPCT特性の測定を併せ行ったところ、急冷凝固物に近い特性が得られた。ついで母合金および急冷凝固物のSEM観察、EPMAおよびESCAによる分析を行った。SEM観察およびESCA分析によると、急冷凝固物の表面には約2μmの酸化物層が形成されていた。しかしその体積割合は非常に小さく、バルクのLaNi_5は主として空気中で融解中に酸化ていると考えられた。またEPMAによると、急冷凝固物の表面にはNiがほとんど観察されず、内部の組成は母合金とほぼ同一であることがわかった。これらの結果から、ノズルの周囲をアルゴンガス雰囲気に保ち、溶湯の酸化およびノズルとの反応を極力抑えれば、母合金に劣らぬPCT特性を有する水素吸蔵合金細線が得られると判断される。なお、上述の結果はごく最近得られたものであり、今後学会発表を行う予定である。
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