研究分担者 |
松本 陽一 信州大学, 繊維学部, 教授 (50021176)
鳥海 浩一郎 信州大学, 繊維学部, 教授 (40016374)
河村 隆 信州大学, 繊維学部, 講師 (70242675)
丸田 明 金井重要工業(株), 開発室研究員
柳生 清秀 金井重要工業(株), 研究開発室長
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研究概要 |
本研究において開発したガラ紡型紡績装置をリサイクル繊維の紡績に使うにはガラ紡の紡糸速度をもう少し上げる必要がある.本年は運転速度を順次上げてそれに伴う不具合を解決した.高速になるとリフト間の糸が振り回されバルーンが生じるので,糸のガイドを設置してそれを防いだ.また各巻き取り速度に対する最適な綿筒の回転速度を見出した.これらにより通常のガラ紡機の14倍の高速運転が可能であることを立証した. 本紡績装置の一つの大きな目的は,手紡ぎ風の味のある糸を製造できるようにすることである.そのためには紡出された糸の形態的な特性を測定し,評価することが必要になる.本年は糸の形状を計測するシステムと評価の方法を研究した.フォトダイオードアレイで糸の太さを計測し,ケバ部分を陰影の過密に応じある規則に基づき取捨選択することで,ケバの多寡およびケバを除いた糸の太さを求め,それに対し統計処理を施し,糸の特性を求めた. フライヤー式手紡ぎについて,機械の運転状態と人の動作の測定を行い,人は巻き取り直前に,撚りの加減とドラフトを巧に組み合わせて太さを調整していることなどを明らかにした. 糸の生産の際糸の太さや撚り率を目的の値にするためには,各種パラメータでこれらの値を定める理論式が必要である.そこで,原料の繊維長,外径,摩擦係数,綿筒への原料の充填率,紡糸張力より糸の線密度と撚り率をある範囲で任意に定め得ることを示し,それを定める理論式を提案した.さらに実験によりこの理論が妥当であることを示した.
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