研究分担者 |
水田 忍 京都大学, 総合情報メディアセンター, 助手 (40314265)
亀田 能成 京都大学, 総合情報メディアセンター, 助手 (70283637)
美濃 導彦 京都大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (70166099)
福嶋 茂信 京都大学, 法学研究科, 助手
坂口 嘉之 東洋紡績(株), 東洋紡績総合研究所, 主任研究員
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研究概要 |
本年度は,本研究で計画している研究課題のうち,現実の布とのインタラクションを通じた布の物理特性の獲得について研究を行った.従来,仮想空間における布操作のための布のモデリングにおいて,モデルのふるまいを実際の布と一致させるためのパラメタ設定は,手作業によって試行錯誤的に行われてきた.本研究課題では,実際の布とのインタラクションを通じて,それを再現できるモデルパラメタをシステムが自動的に獲得する処理の実現を目標としている.本年度はその前段階としてひもを取り上げ,様々な操作における実物のひもの形状をカメラで観測し,これを再現できるようなひものモデルのパラメタを自動的に求める処理を実現した. 1次元のマス・スプリングモデルを用いてひもをモデル化し,隣接2質点間の距離および隣接3質点間の曲げ角に対するバネ制約によって伸び特性と曲げ特性を表現する.実際のひもの観測形状は,ひもの一端を固定し,他端を操作したときの鉛直平面内での静止形状をカメラで撮影することによって獲得する.上のひものモデルが,この観測形状を再現できるには,それぞれの観測形状と同一形状のときに,各質点が力学的につりあいの状態になくてはならない.そこで,(1)モデルの形状と観測形状の不一致度,(2)モデルの各質点に働く合力,の2つの和を評価関数として,これを最小化するバネ制約のパラメタを最急降下法によって求める.実験では,実際のひもの観測画像から本手法によってモデルパラメタを獲得し,それを用いて,端点を様々な位置に変化させた際の形状をシミュレートした.その結果,シミュレーション形状が,実際のひもの端点を同じ位置に定めたときの形状と一致することを確認した. 次年度は,モデルを布に拡張し,トルクセンサ付きロボットアームによって実際の布を操作した際の形状とトルクに対して同様の手法を実現することにより,本研究課題の目標の達成を目指す予定である.
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