研究分担者 |
八木 啓介 京都大学, 総合情報メディアセンター, 助手 (60293940)
椋木 雅之 京都大学, 総合情報メディアセンター, 助手 (20283640)
美濃 導彦 京都大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (70166099)
坂口 嘉之 デジタルファッション株式会社, 取締役
西口 敏司 京都大学, 法学研究科, 助手
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研究概要 |
本年度は,昨年度に行った,現実物体の観測に基づくひもの静的な操作形状のモデル化に関する研究をさらに推し進め,静的形状に至るまでの運動中の動的形状も含めて,現実物体と同じふるまいを再現するモデルを獲得する処理を実現した. 1次元のマス・スプリングモデルを用いてひもをモデル化し,隣接2質点間の距離および隣接3質点間の曲げ角に対するバネ制約によって伸び特性と曲げ特性を表現する.実物のひもの動的形状は,ひもの一端を固定し,他端を動かしたときの鉛直平面内での形状をハイスピードカメラで撮影することによって獲得する.上のひものモデルが,この動的形状を再現できるには,ひもの動作シミュレーションにおける各時刻の形状が,対応する時刻におけるカメラの観測画像と一致していなければならない.このとき,モデルの形状と観測形状の不一致度,モデルの各質点に働く合力と質点の加速度の不一致度,モデルの各質点位置,速度,加速度の不一致度などをそれぞれ評価関数の形で表現し,これらの線形加重和が最小化となるようなバネ制約のパラメタを求める.この際,カメラから得られる観測画像は,現実物体の運動をフレームレートに当たる時間間隔でサンプリングしたものであり,現実物体の運動をもれなく捉えたものではない.したがって,モデルが現実物体の運動を再現する場合には,観測画像が捉え切れていない未観測時刻に対する形状を正しく推定できることが要求される.実験では,実際のひもの一端を固定して他端を自由落下させたときの動作形状をフレームレートを変えながら観測し,フレームレートの減少によって,推定誤差がどの程度増加するかを調べた.その結果,ある程度のフレームレートで観測形状が得られれば,未観測時刻の形状を正しく推定可能であり,モデルが未観測時刻も含めて対象物体の運動を再現できていることを確認した.
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