研究概要 |
1.従来の分布切り取りを用いたカルマンフィルタによる形状モデル精密化手法は観測ノイズが比較的大きい場合に誤った推定値に収束する問題があるので,モデルパラメータのとりうる範囲を楕円体で近似する手法を考案し,コンピュータグラフィクスを用いたシミュレーションで性能実証した.その結果,誤った推定値に収束することは避けられたものの,なかなかパラメータ範囲を限定することができないことがわかった. 2.あらかじめ考えられる手指画像を登録し,その中から入力画像にマッチする画像を検索して姿勢を高速に推定する手法を検討した.まずシルエット輪郭を特徴とし,主成分分析によりマッチングに有効な特徴を選択した.実画像に対して実験を行ったところ,1000枚程度の登録画像の中から0.2秒程度でマッチする画像を検索できた.次に掌の向きや関節角度がすべて既知の合成手指画像をCGで作成し登録画像に用いることで姿勢を推定する実験を行った.その結果,CGモデルが簡略すぎる場合は推定性能がかなり劣ることが分かった.また,各関節角度の組み合わせ数は莫大なので,検索範囲を限定する必要があることもわかった. 3.不確実な情報から推定を正しく行うため,複数の画像特徴を考慮する推定手法について検討を行った.まず,ステレオ画像を用いて3次元情報を考慮することを検討した.ステレオ対応づけは計算コストが高いため,2で述べた高速画像検索法を拡張し,2枚の画像から抽出した輪郭特徴から登録画像を検索する手法を検討した.その結果,それぞれの特徴の顕著さに応じて画像特徴に与える重みを変化させてマッチングを行う手法が有効であることを確認した. 4.実システムを構成するために,PCを複数台高速ネットワークで連結したPCクラスタを作成した.今年度はこのPCクラスタ上で並列プログラムを組むためのクラスライブラリを構築し,それを用いて実際に並列プログラムを走らせることができることを確認した.
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