研究概要 |
本研究では,電力改質センター(QCC)という新しい設備の実用化に向けた検討を行うことを目的としている。平成11年度は,QCCを配電ネットワークにつながる高圧部分と,負荷あるいは需要家の機器群につながる低圧部分とに分け,個々に詳細な内部構成を設計すると共に,その中の内部機器(静止型開閉器,電力貯蔵装置,分散電源,等)の具体的な運用・制御方式を開発した。得られた知見をまとめると以下のようになる。 1. QCC高圧側とネットワーク線路との接続方式において、直列接続方式と並列接続方式の2種類を想定し,それぞれに対して,静止型開閉器の容量制約,切替時間,切替後の位相の変化,他のQCCへ与える影響などを,電磁過渡解析プログラムを用いて検討した。その結果,静止型開閉器による系統切替動作がQCCに大きな影響を与える場合があることが分かり,これを補償するための低圧側の運用制御方式の開発が重要であることが明確となった。今後は,限流器を考慮した事故時の解析やハイブリッドスイッチを用いた検討などを行う必要がある。 2.QCC低圧側については,既に検討を行っている双方向変換器を用いたUPS型内部構成を用いて、三相不平衡補償を行えるような制御方式を開発すると共に,分散型電力貯蔵装置(DESS)を活用した負荷変動補償,負荷平準化や自然エネルギーシステムとの協調運用について検討を行った。 (1)PWMの交流側電圧の振幅と位相を三相独立に制御することで,三相不平衡の影響を補償する手法を開発した。ただし,直流部に電源周波数の2倍の周波数の脈動が生じてしまうので,直流部に挿入されたDESSを適切に制御することでこの影響を補償する必要がある。 (2)負荷の有効電力の変動を,速い速度と緩やかな成分とに分け,各々の成分毎に適切に制御する方式を開発した。速い成分については,PWMが高品質・標準品負荷側における変動を,DESSが特別高品質・直流負荷側の変動を補償する手法を開発した。一方,緩やかな成分については,PWMとDESSとを協調して制御することで,上位から見た負荷を平準化できることを明らかにした。その際、DESSは充電・待機・放電・待機というサイクルに従って運用される。 (3)自然エネルギーシステムとの協調運用については,PWMの交流側へ一定の範囲内の電力しか流出しないようDESSを運用することで,電源としての価値が向上することを明らかにすると共に,そのための具体的な制御方式を、(2)の手法をベースとして開発した。
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