研究概要 |
平成11年度では,周波数450kHzにおいて,低周波コイル形状を大口径150mm直径,長さを150mmとし,従来にはない広い領域のプラズマを発生させることに成功した。また,機能性材料高効率生成の可能性のあるパルス変調モード実験を行いこれに成功した。また,準備段階として,定常の誘導熱プラズマを用いた巨大クラスターC_<60>ならびにSi系のナノマテリアルの生成実験を,Ar,Heならびに分子性ガス(H_2等)雰囲気中で行った。 1)パルス変調によるプラズマ温度場の制御 現有設備備品としてある50kW,45KHz低周波電源を用いて大口径のAr,He,H_2ならびにCO_2等種々の誘導プラズマを形成させ,電力ほぼ30kWにおいていずれのプラズマも発生可能であることがわかった。パルス変調機能についても確認実験を行い,時間精度よくコイル電流がパルス変調できることを確認した。特に,パルスオフ時における電流レベルを変えることにより,プラズマの冷却速度をコントロールできることが判明した。これは本研究の目的である各種ナノマテリアルの高速生成のための具体的実験手法の第1段階の確立という意義を有する。 2)大口径プラズマへの微粒子負荷の導入 別途,誘導熱プラズマ源を用いて,プラズマ中に負荷としての原材料炭素ならびにSi粉末を注入し,高速分光測定によりプラズマ温度場の安定性を測定した結果,いずれの固体粒子注入においてもプラズマの中心温度の低下が認められるものの,全体としての高反応場は安定に維持できることを確認した。 3)クラスター生成実験 この誘導熱プラズマ炉を用いて実際にクラスター生成実験を進めた。原料に炭素粉末を用い,まず,炭素系フラーレンの連続生成実験を行った。プロセスパラメータは,プラズマへの入力電力,原料注入速度,Ar,He,CO_2ガスの構成比とする。特徴的なことは,CO_2プラズマではC_<60>フラーレンの生成がほとんどみられなかったが,Ar,Heを主体とする希ガス中プラズマにおいて大量のC_<60>生成が可能であることが判明した。これは,希ガスによる炭素原子の急速冷却効果がナノマテリアルの形成に極めて重要であることを示している。すなわち,次年度に行うパルス変調によるプラズマ冷却作用の制御が重要な意味を有してきた。
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