研究分担者 |
宮本 昌弘 富士電機総合研究所, 電力技術開発研究所, 課長
滝川 浩史 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (90226952)
田中 康規 金沢大学, 工学部, 助手 (90303263)
松尾 廣伸 静岡大学, 工学部, 助手 (70293610)
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研究概要 |
平成12年度での研究実績を以下に示す。 1)各種ガスを混合したパルス変調Ar誘導熱プラズマの温度計測 現有設備備品としてある50kW,450kHz低周波電源を用いてAr/H_2,Ar/N_2,Ar/O_2,Ar/CO_2によりパルス変調誘導熱プラズマの発生に成功した。この際,高周波CTを用いてコイル電流を測定することにより,コイル電流がほぼ方形波形でパルス変調できることを確認した。さらに,プラズマ温度がどのように変動しているのかをArスペクトル観測から計測した。その結果,特に,パルスオフ時における電流レベルを変えることにより,パルス変調周期内の最低温度を制御できることがわかり,プラズマの冷却速度をコントロールできることが判明した。この傾向は,CO_2を混入させた場合に顕著に見出せることがわかった。 2)大口径プラズマへのC+SiおよびCパウダの導入によるクラスター生成 50kW-大口径誘導熱プラズマ源を用いて,CならびにC+Si粉末を注入することにより,Cクラスター生成実験を行った。ここで,C+Si混合パウダを用いた理由は直流アーク法においてSiを埋め込んだC電極を用いた場合,Cクラスターの収率が上昇するとの報告があったためである。この結果をTOF-MSにより質量分析した結果,誘導プラズマにおいても,C+Si混合パウダを用いた方が,Cクラスタを多量に生成させることができることが判明した。さらにこれらの場合について分光観測を行った結果,C+Si混合パウダの場合,プラズマからのC_2分子スペクトルが強く放射されていることがわかった。C_2スペクトルはクラスタ生成の基本単位と考えられており,Si混合によりC_2分子が形成されやすくなったことを示している。 3)クラスター生成へのガス種依存性 ガスをAr主体(100%Ar)のものと,He主体のもの(20%Ar+80%He)とし,C+Si混合パウダを導入した場合について,生成物をTOF-MS分析した。その結果,He主体とした場合の方が高次フラーレンの多量生成が確認できた。このことから,誘導熱プラズマ装置においてもHe主体とした場合クラスターが生成されやすいことが明らかとなった。分光観測においても,He主体の場合にはC2分子スペクトルが顕著に表れることを確認した。
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