研究課題/領域番号 |
11555087
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
尾江 邦重 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (20303927)
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研究分担者 |
永沼 充 NTT, 光エレクトロニクス研究所, 主幹研究員
福澤 理行 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60293990)
山田 正良 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (70029320)
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キーワード | 温度無依存 / 発振波長 / Bi系半導体 / 半導体レーザ / 熱準安定 / MOVPE成長 |
研究概要 |
本年度は、最終年度であり、今までの成果を基に、目的とする温度無依存発振波長半導体レーザを実現すべく以下に示す検討を行った。 1)GaAsBi混晶成長では、成長温度365度において、Bi含有量2.6モル%までの混晶を得ることができた。また、フォトリフレクタンスで求めたバンドギャップがPLピークエネルギーに対応していることを見い出し、本混晶バンドギャップの温度依存性が、Biの含有により著しく減少することを確認できた。特にBiがわずか0.5モル%入っただけで、温度依存性が半分以下となったのは、非常に興味深い。 2)しかし、そのPLの発光強度は十分に強いものではなかったので、このGaAsBi混晶の成長温度を上げて結晶品質を改善することを試みた。しかし、温度を400度に上げると、X線回折のピークが不鮮明となり、結晶性の劣化を示した。これは混晶の相分離によるものと考えられ、成長温度の上昇による、結晶性の改善は期待できないことが明らかとなった。そこで、365度で成長した混晶を560度30分間の熱アニールを行った。これにより、PL強度が数倍に上昇し、結晶性の改善がはかられた。 3)GaInAs混晶が成長できる最低温度である420度において、GaInAsBi混晶の成長を試みた。しかし、目的とするGaInAsBi混晶は、成長できなかった。この混晶を活性層に用いた半導体レーザ構造を作成し、赤外線ビジコンでそこからの発光を確認するべく測定を行ったが、発光は観測されなかった。 以上、本研究では、その狙いとす物理が正しいことを示せたが、長波長帯材料であるGaInAsBi混晶の成長が相分離のために妨げられ、素子化には至らなかった。
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