研究概要 |
平成11年度の研究実績はペロブスカイト構造高誘電率膜として、(Ba_x,Sr_<1-x>)TiO_3膜の堆積技術開発を行った。(1)高周波マグネトロンプラズマ及び高周波ヘリコンプラズマを用いた高真空イオン化成膜装置の設計と製作を行った。(2)高誘電率膜として(Ba,Sr)TiO_3を高周波マグネトロンスパッタリングによりSi基板上に形成する成膜パラメータとして基板温度、圧力、パワー、アニール温度を制御し膜物性への影響を調べた。BST膜物性の成膜温度依存性:成膜温度を上げるとBST膜結晶性が向上する。成膜温度を上げるとBST膜の屈折率が増大し、対応して比誘電率が増大する。500℃の時ε=26、680℃の時ε=52となった。成膜圧力依存性:スパッタガス圧力を上げると、(200)(100)ピーク強度が増大し、BST結晶性が改善される。圧力を上げると屈折率が増大し、対応して比誘電率が増大する。また、圧力を上げると成膜レートは下がる。アニール温度依存性:500℃スパッタしたBST膜のアニール温度を変えて表面モホロジーと結晶性を調べると、500℃ではアモルファスであった膜が650℃アニールで結晶化が始まり、Ba_<0.6>Sr_<0.6>TiO_3の(100)(200)ピークが出現する。そのとき表面モホロジーが変化し結晶粒成長による凹凸が見られる。700℃アニールでさらに結晶化が進み(200)ピーク強度が大きくなる。結晶粒も小さくなり凹凸も1.6nmであつた。成膜パワー依存性:成膜レートはパワーに依存する。結晶性はパワーに依存せず膜厚に依存している。 以上のように、高誘電率(Ba_x,Sr_<1-x>)TiO_3薄膜を高周波マグネトロンスパッタリングにより形成した。成膜温度680℃、圧力2.0Paの条件で、組成比Ba:Sr;Ti:O=1:1.80:2.96:9.05の(Ba_<0.6>,Sr_<0.4>)TiO_3が得られた比誘電率は52であった。
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