研究概要 |
本研究は次世代半導体集積回路において重要な素子であるキャパシタを微細化、高性能化することを目的として遂行した。キャパシタ用絶縁膜として実効的誘電率が大きくできるペロブスカイト構造高誘電率膜(Ba, Sr)TiO_3(BST)を用いてキャパシタ成膜技術の研究を行った。BSTはBa, St, Ti, Oの4元素からなる絶縁膜のため、高周波マグネトロンスパッタリングによって成膜した。本研究ではこれにBSTターゲットのイオン化を促進できる誘導結合(ICP)プラズマを印加した。高周波(RF)マグネトロンプラズマ+ICPスパッタにより成膜した(Ba, Sr)TiO_3(BST)薄膜のエネルギーバンド構造を調べた。BST膜の組成比はICPプラズマを印加することで改善された。BST/Si界面のBSTのXPSエネルギー損失スペクトルからBSTとSiO_2のバンドギャップは4.30eVと8.95eVである。BST/SiとSiO_2/SiのXPSスペクトルからSiO_2/SiとBST/Siのバレンスバンドオフセットは4.48eVと3.55eVである。このため、絶縁膜中には正の電荷が存在し、SiO_2中のバンドの曲りに対応する。電極Ruの仕事関数は4.97eVである。これらのデータをもとに、Ru/BST/SiO_2/Siのエネルギーバンド図を作成した。BSTの電子親和力は3.57eVであるから、Ru/BST界面の電子のバリアハイトは1.40eVである。本研究ではさらに、BST膜の電気特性として、キャパシタ特性、リーク電流特性を改善した。特にリーク電流はTa薄膜をBSTとSi基板の界面に堆積することで、約2桁改善できた。
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