研究概要 |
本年度は、2基のカソードを有するRFマグネトロンスバッタ装置を用いて、組成の異なった2種類のターゲットから同時に成膜する方法について検討し基礎実験を行った. まず、SrTiO_3及びSi基板にKNbO_3薄膜成膜したときのSAW伝搬特性を検討した結果、下地基板と成膜するKNbO_3の格子定数から、実現が期待できる組み合わせでは、(001)<100>KNbO_3//(110)<1-10>SrTiO_3が規格化膜厚1で電気機械結合係数がk^2=10.4%であることがわかり、この組み合わせで成膜することとした.次にターゲットには、K_2CO_3とNb_2O_5を用いることとし、その比率を1:0,1:1,3:1,7:1と変えて焼成条件を求めた結果、それぞれ750°〜1050°の温度で、成膜に耐えうるターゲットを作製することが可能となった.これらのターゲットを組み合わせ、成膜条件を変化させて作製した膜についてX線回折により評価を行った.現在のところ、K_2CO_3:Nb_2O_5=1:0とK_2CO_3:Nb_2O_5=3:1のターゲットの組で、KNbO_3(002)のピークを観測する事ができたが、まだ結晶性は不十分であり、走査型非線形誘電率顕微鏡による評価でも更なる成膜条件の検討が必用であることがわかった.種々の成膜条件と成膜した薄膜の結晶性についての系統的な対応について検討する必要があり、来年度も引き続き研究を進める予定である.
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