研究概要 |
本年度は以下の実績を得た。 1.(001)面に沿った微細エミッタ形状作製技術の確立 微細エミッタの作製では、エミッタをエッチング停止面である(011)面または(011)面に沿わせている例が多いが、もうひとつの代表的な面である(010)面に沿った方向での作製例も多く、この側面との比較も重要である。そこで、(010)面に沿った方向で問題となるメサ形成時のアンダーカットエッチングを抑制するため、通常用いられるInPエミッタ膜厚の約10分の1の20nmを用いれば、150nm以下にアンダーカット量が抑制できることを示した。またこのエミッタ膜厚で十分な利得が得られることも確認した。この結果エミッタ幅100nmのエミッタ構造の形成が(010)面に沿った場合でも可能となった。 2.微細エミッタ電極コンタクト形成技術の確立 現在用いられる最も一般的な層間絶縁膜/保護膜はBCBまたはポリイミドであり、標準試料としてこの保護膜を持った微細エミッタ構造を形成することは必然である。1μm以下の電極幅では電子ビーム露光法(EBL)での形成が必須であることから、EBLを基本とした絶縁膜形成/電極窓明け技術を開発し、微細エミッタ上において100nm程度の薄膜化したBCB膜、電極窓幅200nmの電極窓の形成が可能となった。 3.微細エミッタ構造HBTの作製 上記1,2の結果から、幅100nmまでの微細エミッタ形成が可能となったことから、実際に微細エミッタ構造を持つHBTを作製し、エミッタ幅500nmまで問題無く動作することを確認した。この作製においては特性比較のため幅2μm程度のものを同時に作製しており、その電極窓形成時にエミッタ幅が500nmを切る素子のアイソレーションに失敗している。今後微細エミッタのみを作製すれば100nm幅エミッタでの動作確認が可能と考えられる。
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