研究課題/領域番号 |
11555093
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山田 明 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40220363)
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研究分担者 |
櫛屋 勝巳 昭和シェル石油, 中央研究所, チームリーダ
岡本 保 東京工業大学, 量子効果エレクトロニクス研究センター, 助手 (80233378)
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キーワード | ZnO / Cu(InGa)Se_2 / 太陽電池 / バッファ層 |
研究概要 |
地球環境問題を考えた場合、その最重要課題はエネルギー問題の解決である。そこで、本研究では、Cu(InGa)Se_2(CIGS)薄膜太陽電池に注目した。特に本研究では、この太陽電池を開発するにあたり、バッファ層に注目した。従来、このバッファ層としてCdSが用いられてきたが、本研究では新しいバッファ層として資源的に豊富であり、また環境負荷が小さいZn化合物であるZnOに注目した。その結果、本年度以下に示す効果が得られた。 1.原子層成長法(ALD)によるZnO成長前に、Cu(InGa)(SSe)_2をアニールすることにより太陽電池特性は、向上する。これは、CIGSS表面のS系化合物がアニールにより取り除かれ、ZnO膜への取り込みが減少したためであることが明らかとなった。これにより、変換効率13.9%が達成できた。 2.ALD-ZnO成長時においては、堆積をZn原料から始めるか、O原料から始めるかを選択できる。この実験過程により、Zn原料から成長を始めると光照射効果(光照射により効率が向上する効果)が減少することを新たに見い出した。現在、多くの研究機関で光照射効果の解明、ならびにこの現象のない太陽電池の開発が進められている。従って、本研究で得られた成果は、この現象解明のための大きな手がかりとなると考えられる。 3.上記結果を受け、CIGS堆積直後に成長室内でZnをCIGSに照射し、故意にZnを拡散することを試みた。その結果、Zn照射により表面がn形化することをEBIC(電子線励起電流)測定により明らかにした。これは、Znをドーパントとして埋め込み形のpn接合が形成可能であることを示す結果である。従来、CIGS太陽電池のpn接合はバッファ層/CIGS界面にあり、界面特性の影響を受けた。従って、埋め込み形pn接合の形成により界面再結合の無い、太陽電池が形成可能になるものと思われる。
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