研究概要 |
本研究の目標は,超微細構造の集積回路を対象として,製造プロセスのばらつきや配線負荷の変動が存在する下での統計的な動作特性解析手法の開発と,回路特性と歩留まりを改善するための設計最適化技術の開発である. 本年度は,要素回路の動作特性モデル化技術とハ-ドウェア記述言語(HDL)を用いたばらつき情報の階層的記述手法,及び,ばらつきモデルのパラメータ設定方法の開発を並行して進めた. 1.到達目標の設定 プロセスばらつき量,配線容量見積り精度,動作特性変動量を調査し,要求されるモデル化精度を検討した.これに基づき,本研究で開発する各要素技術が到達すべき目標を明確化した. 2.要素回路の動作特性ばらつきモデルの開発 製造プロセスのばらつきにより,要素回路の特性が変動する.変動パラメータとして,ゲート長や酸化膜厚などの物理的意味が明確なものを選び,変動パラメータに対する特性の応答曲面を,できる限り簡素で計算コスト少なく作成する手法を検討した.また,配線構造のばらつきや,隣接配線の信号遷移による実効配線容量の変動量を求め,配線に起因する特性変動のモデル化を行った. 3.大規模回路動作特性の階層的モデル化手法の開発 大規模回路の動作特性は,ハードウェア記述言語(HDL)を用いた動作記述を階層的に行うことで評価した.この際,実際の変動パラメータを陽に含むか,もしくは変動パラメータにより影響される各種特性値の相関が失われないようなモデル化手法について検討した. 4.ばらつきモデルのパラメータ設定法開発 上記2.で用いるばらつきモデルのパラメータを求める方法を検討した.ここでは,配線容量に関する変動モデルを対象とする.3次元容量シミュレータと回路シミュレータによる数値解析を基本とするが,その精度を評価するためのテスト回路を設計し,実測特性との評価を行った.
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