研究概要 |
入力画像から有意なパターン領域をマイクロ秒オーダで順次抽出するとともに,高速ウェーブレット変換による特徴抽出を行うことにより,実世界の情景画像を実時間で認識・理解する知能システムの構築を目指す。モデルとして,画像整形用抵抗ヒューズ型ネットワーク,パターン抽出用非線形振動子ネットワーク,および特徴抽出用ガボールウェーブレットフィルタのための非線形セルラーネットワークを採用し,以下の研究を行った。 1.ハードウェア化に適した基本モデル・アルゴリズムの開発 振動子ネットワークについては,不完全な分割抽出を排除する二重しきい値アルゴリズムを考案し,数値シミュレーションによりその有効性を実証した。また,抵抗ヒューズと振動子ネットワークを組み合わせて,自然画像を任意の解像度で分割抽出できるモデルを考案し,数値シミュレーションによりその有効性を実証した。 2.基本要素回路の設計,プロトタイプチップ試作 それぞれのモデルについて,回路シミュレーションでの結果を総合し,必要演算精度の確保,各種パラメータの最適化を行った。次に,基本要素回路および小規模なネットワーク回路を含むLSIチップを設計し,東京大学大規模集積システム設計教育センター(VDEC)を通して試作を行った。(0.6umCMOS,4.5mm角チップ:2品種) 3.試作チップ評価と基本機能の確認 試作したチップの測定・評価を行い,小規模振動子ネットワークの実回路で1振動子の動作を確認した。抵抗ヒューズネットワークおよびガボール型ウェーブレット変換回路については,測定中である。 今後,測定結果をもとに各種パラメータを見直し,処理モデルおよび回路設計にフィードバックすることにより,最適化設計を行い,より大規模なチップの試作を行う。
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