研究概要 |
この研究は、航空機SARによって得られる偏波データの検証,処理,偏波情報を使った地表分類手法の確立を目的としている。そのため、平成11年度は以下の項目の研究を実施した。 ◆航空機SARによる国内の地表のデータ取得・処理:航空機SARによるフライトは通信総合研究所が中心となって本年度2回行った。7月12日-14日,9月16-17日である。両方とも,新潟の上空を飛行してもらい,9月のSARデータに関しては,品質の良い偏波データを得ることができた。 ◆航空機SARデータの偏波合成開口処理:合成開口処理は従来のアルゴリズムに従って行うことができたが,その結果から取り出すことのできる散乱行列に関しては,偏波間の位相情報を正確に保持することができなかったため,現時点では,正確な散乱行列が得られていない。偏波校正用のターゲットとして,3面のコーナーリフレクタを使うが,そのデータの振幅強度は許容範囲に入っているものの,位相に関しては未定の要素が多く,さらに校正方法を検討する必要がある。 ◆新潟大学での散乱行列の校正:偏波レーダでは,2^*2の複素振幅をもつ散乱行列を取得する。各要素の偏波精度は最も重要な点である。実験室内で,予め偏波散乱特性の知られている平行平板導波管ターゲットでレーダの偏波校正を行い,20 dB程度の偏波精度を保つことができた。大学のレーダによるデータを参考に航空機データの検証を行う予定である。 ◆新潟大学での偏波画像解析:航空機レーダによるデータの取得と,その散乱行列の校正が本年度の大きなテーマである。データ量は10GBを越える大容量のデータであり,そのデータのコンピュータへの読み込みや転送が大きな問題となった。8mmテープでのデータの引渡しや,ハードディスク容量など技術的な問題もあるが,画像として生成できる段階に達している。
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