研究概要 |
今年度は前年度までに開発したシステムの応用例として,新しい筋電制御型食事支援システムを構築した.そして,障害者によるフィールドテストを行い,実用化への可能性を検討した. 1.筋電操作型食事支援システムの構築: 前年度に開発した人間支援マニピュレータをバイポーラ電源(高砂製作所BWS60-5)により駆動する制御系を構築し,介助者なしの食事を実現するための支援システムを新たに開発した.このシステムは,(1)筋電制御式インタフェース部,(2)階層メニュー方式を採用したバイオフィードバック部(ソニーPCG-R505S),(3)マニピュレータ部から構成される.実装したシステムを用いて健常者4名による操作実験を行った結果,実際に摂食が可能であることを確認した. 2.上肢切断者による操作性の評価: 構築したシステムを用いて上肢切断者によるテストを実施し,操作性の評価を行った.上肢切断者は,右腕前腕部切断者で切断後4年が経過している.その結果,(1)食事作業は可能であること,(2)大型のマニピュレータを用いた場合,安全性の面から動作速度を落とさざるを得ず,これが作業効率の低下を招くこと,(3)使用するマニピュレータの構造によっては食べ物をスプーンで掬うことが難しく,食べ残しなどの問題が発生すること,などが明らかになった. 3.食事ロボット「マイスプーン」の利用: 以上の問題点を踏まえ,マニピュレータ部に食事ロボット「マイスプーン」(セコム)を利用したシステムを新たに構築した.このロボットは障害者による食事を目的に開発されたもので,通常はジョイスティックで操作する.本研究で提案する筋電操作方式を組み込んだ結果,筋ジストロフィー患者,頚椎損傷患者による操作を実現することができ,本システムの有効性を示すことができた.
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