超軽量人工骨材を用いたコンクリート構造部材の実用化に関する研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11555116
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 二羽 淳一郎 東京工業大学, 工学部, 教授 (60164638)
• 研究分担者: 浜田 譲 ドーピー建設工業, 技術センター, 主任研究員 ; 岡本 享久 太平洋セメント, 研究本部清澄研究所, 部長(研究職) ; 大即 信明 東京工業大学, 工学部, 教授 (40211106)
• キーワード: 超軽量人工骨材 / プレストレストコンクリート / 破壊力学 / 破壊エネルギー / 引張軟化曲線 / せん断耐力 / 斜め引張破壊 / 寸法効果

研究概要

比重が0.8〜1.2で、吸水率が3.0%程度以下、しかも圧壊強度の高い、従来のものとは格段に高性能な超軽量人工骨材が最近わが国で開発された。本研究は、この新しい建設材料である「超軽量人工骨材」を用いた構造用コンクリートの実用化に向けた研究を行うものであり、本年度は、その基礎的な構造特性である、超軽量コンクリートの破壊力学特性、超軽量コンクリートを用いたRCはりおよびPCはり部材のせん断耐力に関する実験的な検討を行った。また、この成果に基づき、PC箱桁の試設計を行い、せん断耐力を保持しつつ、どの程度まで自重を軽減できるかについても検討した。
検討の結果、(1)超軽量コンクリートの破壊エネルギーは、普通コンクリートに比べて小さく、またせん断耐力も小さくなること、(2)超軽量コンクリートの圧縮強度が増加しても破壊エネルギーは大きく増加しないこと、(3)超軽量コンクリートの引張軟化曲線は、普通コンクリートと同様に1/4モデルで近似可能であること、(4)せん断耐力の増加のためには、材料的にはビニロン短繊維等のファイバーの併用、構造的にはプレストレスの併用が効果があること、(5)PC箱桁に超軽量コンクリートを用い、さらにウェブを波形鋼板で置き換えると、自重を50%程度まで低減できること等が明らかとなった。
今年度はこれらの研究成果を、fibシンポジウム、コンクリート工学年次論文報告集、その他に発表した。次年度は、ここまでの研究で得られた超軽量コンクリートの破壊力学特性値を用いて、構造物レベルでの破壊シミュレーションを行い、超軽量コンクリートを用いたコンクリート構造物強度の寸法効果を明らかにするとともに、実用化に向けて、設計方法の提案などを行っていく予定である。

研究成果

• [文献書誌] J.Niwa,Y.Hamada,T.Okamoto 他: "Shear Resistance of PC Beams Using High Performance Lightweight Aggregates"Proc of the 7th East-Asia Pacific Conference on Structural Engineering. 7・2. 1051-1056 (1999)
• [文献書誌] J.Niwa,Y.Hamada,T.Okamoto 他: "Shear Capacity of Concrete Beams Using High Performance Lightweight Aggregates"Proc of fib Symposium 1999 Structural Concrete (Prague). Vol.1. 241-246 (1999)
• [文献書誌] T.Okamoto,Y.Hamada,J.Niwa 他: "Mechanical Behavior of High Performance Lightweight Concrete Beams"Proc of Civil and Environmental Engineering Conference (Bangkok). 3・1. III-1-III-8 (1999)
• [文献書誌] 岡本、浜田、二羽 他: "高性能軽量骨材を用いたプレストレストコンクリートはりのせん断耐荷性状"太平洋セメント研究報告. No.137. 11-16 (1999)
• [文献書誌] 浜田、二羽 他: "高性能軽量コンクリートを用いたPCはり部材のせん断耐力"第9回プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム論文集. 9・1. 739-744 (1999)
• [文献書誌] 岡本 他: "高性能軽量骨材を用いた鉄筋コンクリート柱の曲げせん断性状に関する研究"コンクリート工学年次論文報告集. 21・3. 607-612 (1999)