研究課題/領域番号 |
11555120
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
吉田 秀典 香川大学, 工学部, 助教授 (80265470)
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研究分担者 |
宇野 晴彦 東電設計株式会社, 技術開発本部, 課長
堀井 秀之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10181520)
堺 孝司 香川大学, 工学部, 教授 (20002206)
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キーワード | 高レベル廃棄物 / 地層処分 / 掘削影響評価 / 地山損傷 / 不連続面 / 硬岩 / 開放応力 |
研究概要 |
本年度は地下空間の利用対象となる土木構造物を想定し、その規模・特徴・耐用年数などに合わせて、その技術的問題点・課題点を探った。 地下発電所などの地下構造物は、規模が大きく、掘削そのものに困難が伴うが、発電機として機能するべき使用年数の以上の耐久年数は要求されない。したがって、掘削中の安定性を重視する傾向があり、技術的問題点としては、極めて深い地盤内に、如何にして安全に、かつ経済的に大規模な空間を堀削するかということになる。 一方、本研究のように高レベル廃棄物を処分する空間については、規模は大きくなく、掘削もそれほど困難は伴わないが、耐用年数は極めて長期間を要求される。したがって、掘削そのものよりも、長期安定性を重視する必要がある。長期安定性について問題となるのは、空洞自体安定性と、万が一に備え、周辺地盤の状態である。 ここで後者の周辺地盤の状態に着目すると、やはり地下水理について検討することが重要である。特に、これまで、掘削による影響などを考慮しない、あるいは考慮したとしても、掘削によって緩んだ周辺領域を「ひとまわり大きな空間」として捉えることが多かった。実際には、異方的な、あるいは局所的な地山変形によって、水みちが形成されることが多く、前述のような捉え方では、解析などを行なってもその解が実際の現象と乖離することが予想される。 そこで、本年度は、掘削に伴う損傷領域がどのように形成され、さらにその際にどのように水理環境が変化するかの検討を行なった。本研究では、地層処分の対象を比較的硬い地山を想定した。硬岩地山の場合、地山損傷の支配的機構は、掘削に伴い地山開放されることによって生じる不連続面の変形(せん断すべりおよび開口)であるため、この機構を数値的にモデル化し、その変形量に対して、損傷の程度、あるいは水理特性の変化量を求めた。その結果の一部を『11研究発表』で掲げた論文などに発表した。 次年度は、より現実的な問題設定に対して検討を行なう予定である。
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