研究概要 |
研究の初年度として,次の研究を実施した. (1)やや長周期微動による深部地盤構造の調査 近年,進歩の著しいやや長周期微動アレイ探査による地盤構造調査を名古屋市およびその周辺で開始した.山王温泉ボーリング地点で本手法とPS検層結果を比較してその適用性を確認した.基盤深度は名古屋市の東部で400〜500m,中心付近の鶴舞,山王では700m,これより西部で急激に深くなり,津島市付近では2000m程度と推定される. (2)既設ボーリング孔を利用した速度構造調査 名古屋市中川区の山王温泉ボーリングにおいて,PS検層をはじめとする各種検層を実施し,基盤および堆積層の速度構造を求めた.地表より深さ約700mまでは熱田層群,東海層群などの堆積層が続き,基盤はS波速度約2.8km/sの堅硬な花崗岩であることが明かとなった. (3)岩盤における強地震観測 上記温泉ボーリング孔内の岩盤部分(深さ680m)および地表に地震計を設置した.孔中地震計は光ファイバーケーブル方式の高感度,高ダイナミックレンジの方式を採用し,加速度計エレメントのほか速度計エレメントも併設した.耐圧容器の先端は十字型フィンとして温泉水の流動を妨げない構造とした.これまで1日平均3個の微小地震,台湾の集集地震および周辺に発生したM3〜4の地震など多くの観測データが得られつつある.
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