研究概要 |
研究の2年度として,次の研究を実施した. (1)岩盤における強地震観測 山王温泉ボーリング孔内の岩盤(深さ670m)および地表に設置した地震計により,平成11年8月〜12年7月の約1年間に数100個の記録が得られた.観測記録には名古屋市とその周辺の直下において発生した微小地震も多数含まれている.地表で数ガル以上の主な地震としては和歌山県北部の地震,愛知県西部の地震,福井県西部および福井県沖の地震等がある.これらの観測記録を用いて当該ボーリング孔の深さ方向の最適物性値分布を同定した. (2)深部地盤構造の調査 昨年,山王温泉ボーリング地点でPS検層結果を比較してその適用性を確認した微動アレイ探査法により,名古屋市とその周辺の地盤構造調査を実施した.これによると,名古屋市東山の名古屋大学付近での基盤深度は約540m,昭和区松栄小学校付近および西区上名古屋小学校で約600mであるが,名古屋市西南部の港区小碓では約2000mと急激に深くなる.濃尾平野の西部における調査は国の補助により愛知県が実施しており,これらと合わせて濃尾平野の東北東-西南西断面構造の初期モデルを検討した. (3)濃尾平野の地震応答特性の検討 山王を横切る東北東-西南西の断面構造に沿って地表に展開された強震観測地点の観測波形について,FEMシミュレーション解析を実施した.解析にあたって,モデルの長さは約30km,深さは5kmとし,山王地点の基盤観測データから推定した入力波形を斜め入射させた.その結果,0.7秒までの周期範囲において,計算波形は観測と良く一致し,推定された断面構造が妥当であると判断された.
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