研究概要 |
研究の最終年度として,次の研究を実施した. 1.岩盤における強震観測 名古屋市の山王における温泉ボーリング孔内での基盤地震観測は,建屋建築工事のため一時中断したが,平成13年11月より観測計器を再設置して観測を再開した.これまで得られた記録と濃尾平野に展開された地表強震観測データとの比較解析により,地震応答特性を検討し,各地点の浅部構造の最適化を行った. 2.深部地盤構造の調査 微動アレイ探査による濃尾平野の深部構造調査は,我々と自治体による合計24地点にのぼる.このうち,平野東部の名古屋市付近について複数点の地質構造の連続性を考慮した,多点同時逆解析手法による準3次元的モデル解析を行い,より信頼性の高い地盤構造モデルが得られることを明らかにした. 3.濃尾平野の地震応答特性の検討 これまで得られた地盤情報に基づき,濃尾平野を北東-南西および北西-南東に横切る複数の断面についてモデル化した.各断面側線の間隔は5km程度である.これらのモデルを用いて2次元有限要素法による地震応答シミュレーションを実施した結果,観測値をほぼ良好にシミュレートすることができた.また,差分法を用いた3次元モデルによるシミュレーション解析により,S波以降の表面波と見られる後続波を概ね表現できることを示した.これらのモデルでは名古屋市西部に基盤が急傾斜する地域があり,今後その詳細を解明する必要がある.
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