研究概要 |
本年度は,20t,25tのトラックモデルについて,その重心やバンパーの位置などに着目して,精密化をはかった.試作したトラックの有限要素モデルは,トラック後部の2次衝突までの挙動をほぼあわせることができるようになった.また,1tの乗用車モデルについても,独自にモデル化を行った.しかし,0.3秒程度までの誘導性能はある程度は,可能になったが,本来の目的である重心位置の加速度特性は,まだ,十分な精度で得ることはできない.そのため,乗員の安全性能については,十分な検討はできず,今後の検討課題として残った. 防護柵については,鋼製の橋梁用防護柵だけでなく,アルミニウム合金防護柵について実車衝突数値シミュレーションを行い,実験結果と比較し,概ねトラックの誘導性能と防護柵の変形挙動をシミュレーションできることを明らかにした.このとき,防護柵に用いられるアルミニウム合金の応力-ひずみ関係と,そのひずみ速度効果を明らかにする動的引張試験を行った.その結果,防護柵に用いられるアルミニウム合金の構成則を実験的に得て,その結果を数値シミュレーションに用いた.なお,アルミニウム合金のひずみ速度効果は高々数%で,その効果を解析に導入しても,挙動はほとんど変わらないことを明らかにした. また,剛性防護柵とメタル防護柵の両者のメリットを取り入れた複合防護柵の実車衝突数値シミュレーションを開始した.このタイプの防護柵は,環境にも配慮し,かつ,十分な性能を持った新しい防護柵を設計できる可能を持っており,今後詳細に検討する予定である.
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