本研究は平成11年度〜13年度の3年間の「不飽和透水と一軸強度」試験法の開発的研究であり、不飽和透水試験実施した試料に対して一軸圧縮試験を可能にする試験法・試験機の開発に狙いがある。種々の土質に対する不飽和透水係数データの蓄積、不飽和土の粘着力と飽和度との関係などの究明に主眼が置いている。初年度の平成11年度は、(1)不飽和透水圧縮試験機に関して見直した設計指針の作成・試験機製作と種々の資料収集、(2)既往の試験機による不飽和透水試験、(3)不飽和透水に関するデータの収集、に研究の内容は総括される。 (1)不飽和透水試験と一軸圧縮試験を併用する試験機の開発 当初予定していた試験機は、中空型の円筒土試料に対する水平方向透水、縦方向圧縮、を想定していた。しかし、中空部の透水条件設定と後の強度試験評価に疑義が発生したため、リングせん断方式やスライスせん断方式などの装置も検討した結果、角柱試料に対する横透水と縦圧縮の組み合わせで実施できる試験機を設計して発注し、次年度には試験成果が得られることを期待している。 (2)既往試験機による不飽和透水試験の施行 標準砂やシルト質土に対する不飽和透水試験を実施した。シルト質土より細粒土に対しては既往の試験機を便宜的に使用したために測定精度が不十分な結果に終了したが、砂試料やガラスビーズ試料に対する土粒子特性を考慮した間隙径分布従って、透水係数の推定法に繋がる手法を検討した。 (3)不飽和透水に関するデータ収集・蓄積 粒度分布から推定する「水分法」による間隙径分布データ蓄積、別途の試験で「圧入法」による間隙径分布等から推定される透水係数と計測された不飽和透水係数との対比、推定手法の改善指針を検討した。
|