研究概要 |
本研究では,試作した角柱試料に対する「不飽和透水・一軸圧縮強度併用試験装置」を用いて不飽和土の透水試験手法の簡便化を目指しつつ,水分特性曲線や透水係数の浸透特性値データを蓄積して,粒度・間隙径分布などの土質物性から浸透値を推定する手法を究明した.一方で,"浸水に伴う強度低下現象"を解明するべく手掛かりを得るために,不飽和土の透水・浸透特性と強度特性の関係を検討した.平成13年度に得られた成果を要約すると次のようである. 1.土質物性と不飽和浸透特性値 砂質土やシルト質土を対象にして,従来のAryaやHaverkampの手法を参照しながら,粒度から水分特性曲線を推定する手法を究明した結果,(1)水分特性曲線は,飽和体積含水率,空気侵入値,中間的飽和度の範囲における直線勾配λの3要因で決定されることが判明した.(2)飽和体積含水率の値は福田らの粒度評価径を用いて,空気侵入値の値は筆者らのβ_r値と85%粒径を用いてそれぞれ推定でき,直線勾配λは粒度の均等係数によって表現できることを見出した.次に,不飽和透水係数について,(3)従来のvan-Genuchtenによる飽和度と透水係数の関係式の精度を確認して,その式に含まれる理論的定数の粒度に対する依存性を明らかにした. 2.不飽和土の透水・浸透特性と強度特性 シルト質土を対象にした同一供試体に対する透水・圧縮併用試験の結果,(1)飽和度が高くなるほど透水係数は大きくなり,一軸圧縮強度は低下して圧縮ひずみが大きくなる傾向が顕著に認められた.一方で,水分法による間隙径分布の推定や電子顕微鏡による観察で,(2)不飽和土は浸水を受けると間隙径の大きさが一様になり易いことが得られた.
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