研究課題
基盤研究(B)
自然砂・砂礫地盤の力学特性の把握および液状化判定と液状化抑止工法の選定を精度よく行うためには、高品質の不撹乱試料を用いた室内実験の実施が必要である。この目的のため、凍結サンプリング手法が推奨されているが、この手法は一現場あたり千万円単位の経費がかかり、また設定深度の地盤を凍結するために要する時間が長いことが知られている。一方、チューブサンプリングは、凍結サンプリングに比べて経費・時間の面で非常に優位であるが、得られた試料の品質が凍結試料に比べてかなり低いといわれている。本研究においては、凍結サンプリングに代わるサンプリング手法としてチューブサンプリングを採用しているが、試料品質を確保するために砂・砂礫地盤用にコアチューブを改良するとともに、サンプラーの引き上げの前に不凍液を用いた現場凍結を実施して、試料の抜け落ちを防ぐ方策を提案した。大阪市岸和田市の砂礫からなる埋立地盤においてチューブサンプリングを実施した。コアチューブ先端部の構造を改良したダブルコアチューブサンプラーを用いた。地上に引き上げられたサンプルの乱れを最小限に抑えるために、ボーリング孔内で不凍液による凍結を実施した。得られた砂礫サンプルを用いて三軸試験を実施した。サンプル径が100mm弱となるので、高さ200mm×直径100mmの大型供試体のままで試験を実施した。三軸試験より得られる力学特性と、すでに実施済みの原位置試験結果を比較することにより、サンプリング試料の品質評価を行った。また、兵庫県南部地震時のポートアイランドと六甲アイランドの液状化程度の差異を表現する目的で、両人工島地震計設置位置においてサンプリングとPS検層を実施した。その試料を用いた室内試験と有効応力液状化解析により、両人工島の液状化程度の差異を説明した。
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