研究概要 |
まず自然堆積砂地盤の液状化強度特性を評価するために,コーン貫入試験(CPT)を中心とする原位置試験を適用する方法を選択した。これは,CPTはオペレータの能力による差違がなく,複数の地盤情報が同時にかつ連続的に得られ,試験が簡単で経済的であるという特長を有している。また我々が開発したRIコーンに代表されるように,他のセンサーを組み込んで,別の地盤情報を併せて測定することも可能である。 淀川河畔において過去に凍結サンプリングを実施したポイントを選び,CPT,RI-CPT,サイスミックコーン,ダイラトメ-タ試験を実施した。その結果を過去に蓄積してきた江戸川砂,名取川砂,利根川砂,東扇島砂,千鳥町砂のデータベースに加えることによって,原位置液状化抵抗(τ/σ'_0)をCPT結果から推定する手法を確立した。具体的には,コーン先端抵抗(q_t)と原位置拘束圧から原位置相対密度Drを算定し,別途実施される不撹乱供試体を用いた室内非排水繰り返し三軸試験結果からτ/σ'_0〜Dr関係を導き,Drを媒介としてq_tからτ/σ'_0を推定するという方法である。そして,提案する手法が上記のサイトの液状化抵抗を精度よく予測できることを明らかにしている。 次にトルコ地震の調査を実施し,イズミット湾岸で発生した海底地滑りによる水際線の水没現象を調べるために,水深測量を実施した。その結果,海岸線近傍で滑落崖のような急激な海底地盤の流出があることがわかった。この原因として,地形的には湾奥に断層が存在し,それに向かって地盤が落ち込んでいるために,海底地盤,海岸部ともに4〜5°程度の勾配があり,その上に小河川が運搬してきた土砂が堆積するという緩い扇状地構造となっていることがあげられる。こうした初期条件の地盤に地震動が作用した場合の動的レスポンスの検討が必要である。次年度は傾斜基盤上の砂質地盤の地震時挙動を遠心載荷実験によって検討する予定である。
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