研究課題/領域番号 |
11555128
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三村 衛 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00166109)
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研究分担者 |
北 勝利 東海大学, 海洋学部, 講師 (60234225)
勝見 武 立命館大学, 理工学部, 助教授 (60233764)
嘉門 雅史 京都大学, 防災研究所, 教授 (40026331)
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キーワード | 遠心力載荷実験 / 重力式ケーソン岸壁 / 過剩間隙水圧 / 液状化 / 有限要素法 / 側方流動 / 地盤の動的特性 / 直下型地震 |
研究概要 |
わが国の港湾岸壁の大部分を占める重力式ケーソン岸壁は1995年の兵庫県南部地震において壊滅的な被害を受けた。その後、学会、調査委員会などの場で被災形態、メカニズム、復旧・復興への指針が示され、ポイントごとの被災状況については数値解析などで再現できるとする報告も出されている。しかしながら、ケーソンの変形メカニズムの解明に際しては、地盤内およびケーソンと地盤境界における応力状態をピックアップし、応力、変形両面からのアプローチが必要である。本研究では、内部に水圧計、土圧計を設置したケーソン模型を作製し、遠心力場において地震力載荷を与えることにより、その動的挙動特性を実験的に評価した。入力加速度、ケーソン天端、埋立地盤における応答加速度、ケーソン変位を併せて計測し、外力〜応答応力成分〜地盤・構造物変位をトータルに検証することによって、重力式ケーソン岸壁の地震時動的挙動の解明を目指した。実験により、ケーソンの地震時滑動には慣性力、置換砂地盤の強度低下、背面地盤の液状化が複合的に寄与していることが確かめられた。また加えて置換砂前面の粘土地盤の存在が無視できないこともわかった。通常装置の大きさからくる限界と超軟弱粘土地盤の作成の難しさから、粘土地盤の部分は剛体でモデル化されることが多いが、このタイプでは置換砂の流動を抑止する働きがあるために変形モードが倒れ込み型になってしまい、実際の前面への傾斜型とは異なった挙動を示すことが明らかとなった。本研究では自立性、変形性を併せ持った材料ということで木綿豆腐を使用し、実現象を再現する実験結果を呈示することができた。また粘土は流動化しない材料であるために、置換砂の流動化を抑止する効果があり、必ずしも置換砂地盤を広く採ることがケーソン変位にとって有用ではないこともわかった。 こうした実験結果を有限要素コードLIQCAを用いて解析した。解析に際しては用いた材料から直接パラメータを決定し、解析と実験の整合性を保った。解析結果が実験結果をほぼ再現することができ、本研究で実施した実験が妥当なものであることが確かめられた。また寸法効果を考慮した実際の被災事例と比較した結果、実験結果は実挙動をおおむね再現していることがわかった。
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