研究概要 |
現在、わが国では年々増加する廃棄物の処理が大きな社会問題となっている。その中でも廃棄EPSは、現在廃棄物処分場の確保の制約や、処分場に埋め立てる量にも限界があることから、資源として再利用する技術の開発が急務となっている。また、近年の生活向上に伴い、家庭から排出されるごみは増加の一途をたどっているが、その焼却灰は最終処分場の残容量問題や埋立地からのダイオキシン類、重金属類の溶出による環境汚染問題が指摘されており、都市ごみ焼却灰の無害化、再利用の技術開発が望まれている。また、都市開発や地下利用の増大に伴い大量の建設発生土が発生している。低品質な建設発生土は処分する適地の確保が困難な状況にあり、処分費用も急騰しているため、その再資源化が緊急の課題となっている。 本研究では、廃棄EPSの軽量性に着目し、擁壁裏込め材としての再利用を図ることを目的とする。減容化した廃棄EPSと低品質な建設発生土を互層に積層した裏込め材を用いた積層地盤載荷装置実験を実施するとともに、擁壁に作用する土圧解析をもとにした擁壁の安定性評価を行い、擁壁裏込め材としての再利用の実現可能性を検討した。また、都市ごみ焼却灰リサイクルシステムにより無害化された都市ごみ焼却灰の土質工学的性質の把握と、軟弱地盤改良材としての適性を、基礎実験に基づき検討した。 本研究の主な内容としては,(1)減容化した廃棄EPSの物理的および力学的性質の把握;(2)積層地盤載荷装置の開発;(3)積層地盤載荷装置実験による減容化した廃棄EPSの擁壁裏込め材としての適性評価;(4)都市ごみ焼却灰の物理的および力学的性質の把握;(5)都市ごみ焼却灰の軟弱地盤改良材としての適性評価,などが検討された.室内実験的および解析的検討に基づいて,廃棄EPSおよび都市ごみ焼却灰の再資源化の可能性が詳細に考察された。
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