研究概要 |
(1)移動床水路の湾曲部に群生している樹木群の水制的機能を実験によって検討した.樹木群水制として,密生状態にある樹木群に近い空隙を持つ多孔質体を用いている.その結果,樹木群水制の場合は,不透過水制の場合に最も効果的に河岸の洗掘を軽減することが確認されている(水制間隔/水制長さ)=(L/D)=2.0よりも大きなL/D=7.2の配置が最も河岸洗掘軽減効果が大きいことが明らかになった. (2)実験によって明らかにされた移動床湾曲流れの樹木群水制の配置の適合性を本研究で開発した三次元数値解析モデルによって確認した.即ち,L/D=7.2で樹木群水制を配置すると,平均流速分布の横断分布がかなりの程度一様化し,二次流が弱められる.その結果,外岸寄り河床の洗掘が小さくなり,横断河床勾配が相対的に小さくなる実験事実を説明できた.更に,樹木群水制のある流路の全体的な河床変動について,計算結果は,実験結果を適切に説明できている. (3)余笹川の氾濫流に対する防災樹林帯の効果を現地洪水氾濫の痕跡調査と氾濫流の解析から検討し,樹林帯の効果を明らかにした. (4)粘着性の土からなる自然河岸を用いた実験より,河岸侵食の2つの機構を明らかにした.実験から得られた侵食部の形を模擬し,河岸の侵食模型を作り,これに通水し侵食部内の流れの構造を詳細に調べた.この実験結果に対し,平面二次元モデルを適用し,侵食内部に生ずる流れと剥離渦を再現し,この剥離渦の形成発達が河岸の侵食に主要な寄与をなすことを明らかにした.
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