研究概要 |
高温好気発酵法における有機物分解能力を、処理を司る高温細菌と中温細菌の活性から評価した。ベンチスケールでの長期運転の時、運転開始から1,5,15,30,45,60日目に高温細菌と中温細菌の計数および分離を行った。また、15,45日目には1サイクルにおける三時点(供試廃棄物投入後、最高発酵温度、1サイクル終了時)での高温細菌と中温細菌の計数および分離を行った。 高温好気発酵担体より、高温細菌21株、中温細菌は37株を分離した。分離した細菌を電子顕微鏡で観察した結果、高温細菌は桿菌、中温細菌は球菌であった。分離した高温細菌のTOC除去能は、T1とT16がそれぞれ77%と75%、中温細菌ではM11とM15がそれぞれ69%と71%であり、他に分離した株より高かった。また、分離した株の最大比増殖速度は、30℃では高温細菌より中温細菌が高く、60℃では高温細菌が高い最大比増殖速度であったが、中温細菌は増殖ができないことが明らかになった。 1サイクルにおける高温細菌と中温細菌の役割としては、廃棄物の投入後低温領域(約30℃前後)では、中温細菌の増殖による発熱で高温細菌の増殖に適切な温度まで上昇させた後、高温細菌が多量の有機物の分解に寄与することが分かった。また、細菌の活性度を考慮した適正最高発酵温度は70℃であることが分かった。
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