研究概要 |
高温好気性処理における有機物分解能力を、温度および有機物濃度と有機物分解速度の関係として定式化した.有機物の分解速度を30,45,60℃の一定温度条件で解析し,分解速度は一次反応式で表すことができること,その一次反応定数は温度の指数関数として表されることが明らかになった.有機物分解速度を表す一次反応定数から,食用油は豚舎廃棄物と比較して分解性が大きく劣ることが示された.この有機物分解速度式を用いて高温好気処理ブロセスにおける有機物分解過程および熱収支解析を行った結果,有機物の1回の投入量を減少させながら投入間隔を短縮することで1サイクルにおける高温を維持する時間の割合が長くなること,その理由は反応槽内における有機物濃度が常に高く維持され,その高い有機物分解速度により多くの熱が発生し,それによって高い温度が維持されるという連鎖的な反応機構であることが明らかになった.また1サイクルにおける有機物分解のほとんどは60℃を超える時間帯で起こっていることが明らかにされた.これはこれまで実験的に明らかにされていた,24時間1サイクルにおける60℃以上維持時間の重要性を裏づけるものである. 以上の結果から,高温好気性処理ブロセスのシミュレーションモデルを構築し,数値シミュレーションにより任意の初期条件(有機物の濃度,含水率),運転操作条件(1サイクル時間,1回の投入量)における高温好気性処理プロセスの可能性,最適運転操作条件の解析が可能となった.
|