研究概要 |
本研究では、畜産系有機廃棄物の高速分解と窒素・リン資源化のための高温好気性処理プロセスを開発するために,豚舎廃棄物を用いたベンチスケールおよびパイロットプラント実験を行った。本研究により得られた成果を以下に総括する。 1)ベンチスケール実験においては、豚舎廃棄物のBOD負荷3kg・m^<-3>・day^<-1>、通気量100L・m^<-3>・min^<-1>の条件で補助熱源として食用油120mLを添加することで、1サイクルにおいて約86%の炭素、98%の水分が除去され、20日間処理を継続することが可能であった。 2)微生物の活性度を高める環境条件としては平均含水率55%が最適であり、この条件でATP濃度、高温菌数が最高になることが明らかになった。 3)ベンチスケール実験において最適運転条件のもとで長期間運転を行った結果、運転開始から60日目までは効率よく処理できたが、それ以降は処理機能が低下し、86日目に充填した50%の杉チップを入れ換えることによって処理機能が回復した。 4)パイロットプラント実験において、最高発酵温度は64℃、重量減少率は91%で処理が再現できた。冷却器に貯まった水には、TOCとT-Pは検出されなかったが高濃度のT-Nが検出され、投入した廃棄物の窒素はアンモニアガスとして除去されていることが分かつた。 5)有機物の投入間隔を,1サイクル24時間から8時間に短縮することで,1日での処理量を2倍以上に増加させることができ,有機物の投入条件の最適化が高速分解を可能にすることが示された。
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