研究分担者 |
杉惠 頼寧 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70034410)
塚井 誠人 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70304409)
小松 登志子 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80034396)
岡村 敏之 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助手 (90314781)
藤原 章正 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (50181409)
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研究概要 |
本研究は,中小都市の水供給システムの防災性を高める上で,河川や井戸などの代替手段の利用が効果的であると考え,そのために必要な工学的な検討内容を整理し,その分析を効率的に実施するための地理情報システム(GIS)を中心とする分析システムの構築を試みる. 昨年度までの研究では,対象とする東広島市の人口・産業活動・河川・井戸・道路・水道・下水道施設などの地理データをGIS上へ変換し,地下水位と流行流速調査,地震時の構造物の破損による汚染の伝播シミュレーション,簡便水質測定法の精度の検討,給水車による飲料水の配送計画モデルを作成を行い,給水計画を検討するための基礎的なツールの整備を行ってきた.3年間の最終年度に当たる本年度は,3月に起こった芸予地震時の断水地域での住民行動の調査を加え,さらに利用可能地下水量の季節変動の検討,汚染シミュレーションに基づく汚染拡散を踏まえた簡易水質検査井戸の選定方法の検討,人口と井戸の分布を踏まえた緊急給水点配置の計画モデルを加え,緊急時の簡易水質測定体制,給水点の設置,給水車の配備を事前に立案する手順を整理してそのシステム化の可能性を検討・整理した. 具体的な知見は以下の通りである.第一に地下水の季節的な量的変動にかかわらず,緊急時に必要な水量はほぼ確保できる.第二に芸予地震時に断水した広島県島嶼部では,日常的に井戸水を用いている世帯を中心にかなりの井戸水が飲用に使われていた.第三に汚染シミュレーションを用いれば,井戸の汚染リスクが計算でき,その影響を最小にするような検査井戸が選定できること,第四に使用可能井戸を踏まえて緊急飲料水の配送を考えれば,一定のコスト削減が可能であること. ただし,いずれの問題も複雑な計算を内包するものであり,現時点でパソコン上の簡便な検討システムを構築することは困難であることも明らかとなった.
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