研究課題/領域番号 |
11555150
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中島 正愛 京都大学, 防災研究所, 教授 (00207771)
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研究分担者 |
五十嵐 秀一 理研精機(株), 開発課長(研究職)
吹田 啓一郎 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70206374)
井上 一朗 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40029294)
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キーワード | 完全崩壊 / 損傷評価 / 構造実験 / オンライン実験 |
研究概要 |
本研究では、「構造物の完全崩壊を実験室で再現する」ことを主題とし、構造物の完全崩壊に関する実験情報を獲得する新しい実験手法を考案するとともに、この手法を用いた実験から得られた結果を詳細に分析することから鋼構造骨組の完全崩壊挙動を考察する。平成13年度では、骨組の自重支持能力を支配する柱に着目し、一定軸力と繰り返し漸増水平力が作用する柱を含む部分骨組を対象に、それが完全に崩壊するまでの実験を実施した。またこの結果を、強幾何学的非線形性を考慮した数値解析によっても模擬し、数値解析の問題点を考察した他、前年度までの成果とも組み合わせ、鋼構造骨組の完全崩壊を特徴づける指標を抽出した。主たる知見は以下の通りである。(1)柱が完全崩壊に至る近傍において、柱の軸方向縮みは著しく(最終的には材長のほぼ50%にまで縮小)、この挙動を追跡するためには、軸方向加力用ジャッキは極めて長いストロークを有する必要がある。(2)角形鋼管柱の場合、復元力の劣化は主として局部座屈の進展と亀裂に支配される。(3)軸圧縮力がある程度存在する方が亀裂の発生が押さえられ、最大耐力到達から完全崩壊に至るまでの余裕度が高い。(4)軸圧縮力がある限界を超えると象の足形局部座屈が次々と発生し、早期に完全崩壊する。(5)数値解析によっても最初の局部座屈発生とその進行までは十分に模擬できるが、管壁が違いに接触しあうようになるまで局部座屈変形が進行すると、それ以降は正しい挙動を追跡できない。(6)超大変形領域における梁が示す復元力の増加は、柱の縮小によって助長される可能性がある。
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