研究概要 |
【資料収集と整理】 既往の実験的研究資料を収集し,本研究の目的に合致して利用可能なものを選定した.それを,各種実験パラメータごとに分類,整理した。これにより,木構造における各種耐震要素の抵抗力と変形の関係,崩壊に至る過程(復原力特性)を定式化する資料とする。 【実験的研究】 復元力特性の定式化,数学モデルの作成の基本資料,ベンチマーク・テストとして,従来型工法ついて,軸組だけの試験体(試験体1),間柱とパネルを有する試験体(試験体3),またその中間の,間柱だけを有する試験体(試験体2)を作成し,繰り返し水平力加力実験を行った. 各試験体のスパンは1間で1960mm,高さ2760mmとした.柱と土台はヒノキ,梁はベイマツから成り,また柱の太さを105角と120角の2通りとした.繰り返し方法は,層間変形角1/300,1/200,1/120,1/60,1/30,1/15を基準とし,変位制御による載荷方法とした. 試験体1と試験体2を比較して,間柱の効果による耐力や復元力特性の違いは特に見られなかった.また,両試験体とも層間変形角が1/15以上であっても,耐力の低下は生じなかった. 試験体3では層間変形角1/60を超えたところで,柱と土台の接合部のT型金物が完全に変形して釘が抜け,耐力の低下が生じた. 各試験体とも復元力特性は木質構造骨組特有のスリップ型の復元力特性を呈した.
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