研究概要 |
(1)NeWMeKデータとの対応比較を目的にした福岡市今宿地区と、台風9918号による強風分布状況把握を目的にした熊本県松合地区(宇土半島)の実地形模型を用いて風洞実験を行った。いずれも地表面30〜100m程度の風速分布を計測した。今宿地区の模型実験では、通常の境界層流れを用いた風速計測値は実測結果に基づく風速特性との対応が悪いことがわかった。これは縮小模型や風洞風速との関係で制限されるために起こるいわゆる相似則の不一致に起因するものと思われるが、風洞実験では直接的にこの問題を解決できないことは広く知られている問題である。そこで本研究では上流側にドライアイスを置くことで接近流の下層安定性を強化して計測を行ったところ、平均風速や乱れの強さに対する風向特性について、風洞実験結果をNeWMeK実測結果にほぼ対応させることができた。 この実験計測法を、台風9918号によって大きな被害が出た宇土半島の地形模型に適用して松合地区山地部の風速特性を検証した。実験結果は宇土半島の谷筋方向と台風9918号の主風向が一致することで風速値が増大する傾向があることを示した。これは現地での風倒木状況との対比から見ても妥当な結果であることが分かった。 以上の結果は、NeWMeK観測地点がない、すなわち実測データがない地点での風速割り増し係数を予測する上で重要な知見である。 (2)上記実験結果に基づいて,地形形状別の割増係数情報の追加補正を含めて,基礎情報データベースの整理を行った.追加情報として、1999年9月に九州中央部を襲った台風18号による宇土半島山地部の特性を整理した。 また,国土地理院発行の50mメッシュ数値地図情報を利用して観測地点の地形状況をモデル化し,LSD法その他による観測地点の突風率の推定を行った。
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