研究概要 |
(1)熊本県宇土半島の地形模型を用いて,海岸から山地部に及ぶ幾つかの地点の増速特性に及ぼす地表面温度勾配の影響を風洞実験で検証した。ドライアイスによる地表面付近の成層流の安定化現象を確認したところ,地表面付近での平均風速の増加に温度分布が強く影響することを確認した。しかしながら,河川や谷筋が複雑に錯綜している地域では,実際の現地の風状況に対応する検証が難しく,NeWMeK観測点以外の地点の従来手法での予測精度の再検討が必要であることが分かった。 (2)1999年台風18号のデータを含めて,1995〜2000年のNeWMeK観測記録を用いて各観測地点の突風率データを周辺平均風速の増速情報として整理した。この情報は台風と非台風の分別と8方位に対する風向別に整理したものであるが,台風時では九州南部で南風,中部では東風の場合に,また非台風時では九州全域南風の場合に,突風率が高くなることが分かった。突風率そのものは台風時の方が非台風時より高く,また台風時は高風速でも突風率が下がらない,などが分かった。 (3)今年度当初の申請に入っていないが,台風9918号による配電柱の被害情報を入手し,九州電力(株)の各営業所毎の被害率を風速との対応で検証した。その結果,最大風速との関連は薄く,最大瞬間風速が30m/s以上になると急激に被害が拡大していることが分かった。これは,これまでの住家被害と同じ傾向であり,実際の強風被害低減を最大瞬間風速と関連して対策すべき示唆を与え,本研究の最終報告への指針となった。 (4)本研究の最終年度として,これまでの研究成果を総括した。
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